アスベストを含む建物での防犯カメラ施工

アスベストを含む建材への施工

ジャパン・セキュリティシステムのメディア記事をご覧いただきありがとうございます。
ソリューション業務課の岡崎と申します。

今回は、防犯カメラの施工時に注意するべき、ある条件についてお伝えしていきたいと思います。

近年、防犯カメラの需要は高まる一方ですが、機器の購入だけでなく設置のために現地調査や工事手配・機器設定・施工後の運用管理など様々な対応が必要になります。その工程のなかで設置工事の際に、注意が必要な建物の存在をご存知でしょうか?
それが、アスベスト(石綿)を含んだ建物です。

古い建築物に施工する案件が多い方は是非、一度チェックしていただければ幸いです。

アスベスト(石綿)とは

アスベスト

アスベスト(石綿)とは、天然に存在する繊維状鉱物で、その優れた耐熱性、断熱性、耐摩耗性から、かつては「奇跡の鉱物」とも呼ばれ、建材をはじめとして様々な製品に広く使用されてきました。
しかし、その裏には、深刻な健康被害という影が潜んでいました。

石綿は、極めて細い繊維で、熱、摩擦、酸やアルカリにも強く、丈夫で変化しにくいという特性を持っていることから、建材(吹き付け材、保温・断熱材、スレート材など)、摩擦材(自動車のブレーキライニングやブレーキパッドなど)、シール断熱材(石綿紡織品、ガスケットなど)といった様々な工業製品に使用されてきました。
しかし、石綿は肺がんや中皮腫を発症する発がん性が問題となり、現在では、原則として製造・使用等が禁止されています。その発がん性は次のようになります。

引用:独立行政法人 環境再生保全機構「アスベスト(石綿)とはどのようなものか」

アスベストの問題点

日本では、アスベストが原因とされる健康被害が社会問題となり、特に2005年には大手機械メーカーの工場でアスベストによる健康被害が多数発生していたことが明らかになり、大きな社会問題となりました。皆様も記憶にあると思います。

これを機に、アスベストの使用規制が大幅に強化され、現在では原則として製造・使用が禁止されています。

では、なぜアスベストはこれほどまでに問題視されるのか?
それは、アスベストの非常に細かな繊維が、飛散して空気中に漂い、それを吸い込むことで肺の病気(肺がん、悪性中皮腫など)を引き起こす可能性があるためです。これらの病気は、アスベストを吸い込んでから数十年という長い潜伏期間を経て発症することが多く、その恐ろしさが認識されるまでに時間を要しました。

アスベストの危険なポイントまとめ

  • ・発がん性
    世界保健機関が「ヒトに対する発がん性がある」と明確に分類。特に、肺がん、悪性中皮腫などのリスクを高めるといわれている。
  • ・潜伏期間の長さ
    曝露から発症までに非常に長い潜伏期間があるのが特徴。一般的に10年から50年、時にはそれ以上かかることも。
  • ・少量でも危険
    非常に細かく、肉眼では見えない。空気中に飛散したものを吸い込むことで体内に入り込み、健康被害を引き起こす。
  • ・飛散性
    老朽化したり、解体・改修工事などで破壊されたりすると、非常に細かい繊維が空気中に飛散しやすい。この飛散した繊維を吸入することが最大の危険。
  • ・治療が困難な疾患
    アスベスト関連疾患、特に悪性中皮腫は、現在の医療では非常に治療が難しい。診断が遅れることも多く、予後が悪いケースが少なくない。

施工時の注意点

特に注意が必要なのは、1970年代以前に建設された建物です。
これらの時期に建てられた商業施設、工場、学校、そして一般住宅などには、アスベストが含有された建材が使用されている可能性が高いと言われています。防犯カメラの設置工事では、壁に穴を開けたり、天井裏に配線を通したりする作業が伴うため、アスベスト含有建材を損傷し、アスベスト繊維を飛散させてしまうリスクがゼロではありません。

その施設の利用者だけでなく、周辺の住民や設置工事する施工業者の作業員の健康被害につながる恐れがあるため、注意して手配する必要があります。

事前に営業側・施工業者が気を付けること

①事前調査の徹底 施工現場のアスベスト含有箇所(天井、壁、ダクトなど)を把握する
②発じん性レベル 弊社で施工対応可能なのはレベル3(発じん性が比較的低い)のみのため確認
※レベル1(吹付けアスベスト)・レベル2(アスベスト含有断熱材等)は専門資格と大規模な除去作業体制が必要なため
③追加費用 養生資材費・作業時間の延長等が発生する可能性を施主や依頼者に伝える

施工時の注意点

これまでお伝えしてきた通り、アスベスト自体の危険性や特殊な性質から、以下のような施工時の違いがございます。

  • ①粉じん飛散の防止に気を付ける
    アスベストの飛散を防ぐため、壁や天井の穿孔作業は原則として避ける
  • ②保護具の着用・作業範囲の封鎖
    必要に応じてマスク、手袋、防護服などを着用。

また、アスベストを含んだ建物・施設へ施工を行う際は「そもそもアスベスト飛散が起こるような工事を行わない」という方針もあり、例えば以下のような回避策を提案することがあります。

モニタ設置方法の変更

当初壁面取付の想定だったが、テーブルへの据え置きに変更

いつも、弊社案件の施工でお世話になっております「株式会社SEEK」様より、アスベスト案件の対応についてコメントをいただきました。

代理店ご担当者様より一言

アスベスト対応の現場では、とにかく無理な作業をしない判断力が大事だと感じました。
営業担当や管理会社との連携を密にして、現場で認識齟齬によるミスが発生しないように注意しています。
過去に、予定していたルートが使えないことがわかり、営業・管理会社と相談して、別の配線ルートにする判断をしたケースがありました。

最後に

最後までご覧いただきありがとうございました。現在も古い建物はまだまだ存在していますが、施工についてでお悩みの方へ、参考にしていただければ幸いです。

弊社では防犯機器の開発・販売だけでなく、施工・保守も含めたワンストップサービスを提供しています。今回とりあげたような施工事例も豊富にございますので、施工についてご不明な点や手配に不安な点がありましたら、是非、JSS担当営業までご相談ください。

施工についてのお問合せ

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