爆発リスク環境の安心・安全を支える「ExSiteシリーズ」
私たちの日常生活において、防犯カメラを見かけない日はありません。街角や公共施設、オフィスビルまで、現代社会において防犯カメラは、安心と安全を守るための「当たり前の存在」となりました。
しかし、その「当たり前」が通用しない特殊な現場があることは、意外と知られていません。
それは石油プラントや化学工場といった、可燃性ガスや粉塵が滞留する「爆発の危険がある場所」です。
こうした環境では、万が一の事態を防ぐための防犯カメラが火種となり、爆発の起点になってしまうかもしれないのです。そんな、着火源となるリスクを解消するために生まれたのが、今回ご紹介する「防爆カメラ」です。
本記事では、数ある防犯カメラの中でも特殊モデルであるPELCOの「ExSiteシリーズ」に焦点を当てつつ、防爆カメラについて解説します。
PELCO製品概要について

アメリカのセキュリティソリューションにおけるトップブランド「PELCO」の各種防犯カメラをご紹介いたします。
「防爆」を正しく理解する
防爆カメラという言葉を見て、漠然と「爆発しないカメラ」を想像する方も多いかもしれません。しかし実際は、設計思想そのものがまったく異なります。防爆カメラは、一般的な防犯カメラの延長線上にある製品ではなく、設置環境そのものを前提に設計された別カテゴリの製品です。
▸「IP / IK」と「防爆」はまったく別物
防犯カメラの性能指標として広く知られているのが、IP(防水・防塵)やIK(耐衝撃)です。これらは、雨風や粉塵、外部からの衝撃に対してどれだけ耐えられるかを示すものであり、主に屋外環境への適応力を表しています。
一方で、防爆はこれらとはまったく異なる概念です。

防爆とは、可燃性ガスや粉塵が存在する環境において
- 製品が着火源とならない
- 製品内部で発生した火花・熱を外部に漏らさない
上記を前提とした設計を指します。
電子機器である防犯カメラは、本来、微小な火花や発熱を伴います。そのため、通常の製品をそのまま危険環境に設置すると、爆発の引き金となってしまう可能性があります。
事故の火種となるリスクを考慮した防爆カメラは、厚い金属筐体や熱設計などにより、内部で発生し得るエネルギーを外部に伝えない構造を採用し、危険区域においても“設置してよい機器”として成立させているのです。
製品シリーズの特徴

PELCOの「ExSite」シリーズは、国際規格(ATEX / IECEx)に準拠し、爆発の危険がある区域での使用を前提に設計されたカメラです。
その構成要素や特徴をご紹介いたします。
| 過酷環境を前提とした筐体 | モデルごとにステンレス製・アルミ製など異なる筐体を採用しつつ、いずれも防爆規格に適合する設計が施されています。耐腐食性・耐候性・温度耐性を確保し、塩害環境や化学プラントなどの過酷な現場でも安定運用が可能です。 |
| 幅広い監視ニーズに対応するシリーズラインアップ | 主力ラインのPTZを始め、固定カメラやサーマルカメラなど、監視対象や設置条件に応じた製品バリエーションがあります。広範囲のエリア監視から特定設備の定点監視まで柔軟に対応します。 |
| 危険環境へ立ち入らなくて済む設計 | 遠隔操作や各種検知機能により、現場に人が立ち入ることなく状況を把握できる点も大きな特長です。これにより、危険区域における常駐監視の必要性を低減し、安全性の向上と運用負荷の軽減を両立します。 |
▸製品ラインアップ
一見すると種類が多くて分かりにくい「ExSiteシリーズ」ですが、大きく分けて「Enhanced」と「Pro」という2つの性能グレードに分類されます。
主力ラインであるEnhancedはとくに種類が豊富なため、ここでは簡単にご紹介いたします。
- ① ExSite Enhanced 2 シリーズ(ハイエンドモデル)
上画像の他、小型やサーマル(熱検知)固定型など多様なモデル展開。
- 危険環境(石油・化学・港湾など)向け。最高レベルの耐久性と多機能性を備えたモデル。
- 高耐食性のAISI 316Lステンレススチールを採用。塩害のある沿岸部や、腐食性ガスの発生する過酷な環境に最適。
- -40~70℃など低温から高温環境まで対応。
- 広範囲監視・設備監視に最適。
- 種類:PTZ / 固定 / 可視光・サーマルカメラ一体型など
■ ExSite Enhanced 2 シリーズラインアップ一覧
| 製品筐体 | 製品名 | 特徴 |
|---|---|---|
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ExSite Enhanced 2 Series PTZ | 重耐環境で安定稼働するPTZカメラ |
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ExSite Enhanced IR 2 Series PTZ | 長距離IRで夜間監視も可能なPTZカメラ |
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ExSite Enhanced Bispectral 2 Series PTZ | 可視光と熱で検知できる二眼PTZカメラ |
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ExSite Enhanced 2 Series Fixed | 定点監視に適した堅牢設計モデル |
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ExSite Enhanced Thermal 2 Series Fixed | 熱検知に特化した固定型カメラ |
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ExSite Enhanced 2 Series Compact | 省スペース設置に適した小型高性能モデル |
- ② ExSite Pro シリーズ(ミドルレンジモデル)
PTZは赤外線(IR)搭載・非搭載で分かれています。
- 性能を維持しつつ、コストパフォーマンスと軽量化を両立したモデル。
- アルミニウム製ハウジングを採用。ステンレス製より軽量で、設置の負担が少ないのが特徴。
- -40~65℃など低温から高温環境まで対応(Enhancedシリーズより使用温度範囲がやや狭い)。
- 陸上の石油施設、製造工場など、ステンレスほどの超高耐食性までは求められないが、確実な防爆性能が必要な場所に最適。
- 種類:PTZ / 固定
ExSiteシリーズは、PTZモデルのみ「IR搭載 / IR非搭載」が明確に分かれており、固定カメラは基本的に外部照明を前提にしています。
街灯などが一切ないプラント外周など「夜間に照明が消える場所を映すならIR搭載」、プロセス監視エリア・室内プラント・計器類の近くなど「常に明かりがある、または設置スペースを抑えたいならIR非搭載」という基準で選ぶのが一般的です。
以下では、PELCOの公式Youtubeチャンネルで「Enhanced 2 シリーズ」の概要を紹介しています。(英語です)
ご興味がありましたらこちらもご覧ください。
導入に最適な業種とユースケース
爆発の危険がある環境は特定の業種に限定されるものではなく、エネルギー分野から製造業、インフラ設備まで幅広く存在します。ここでは、本製品群が活用される代表的な業種と用途について、公開可能な具体例を交えてご紹介いたします。
①石油・ガス・化学・エネルギー産業

製油所やLNG基地、化学プラントなど可燃性ガスや揮発性物質を扱う現場では、設備の稼働状況やバルブ・配管周辺の異常を遠隔で把握するニーズが高く、人が常時立ち入ることが難しい危険区域も多く存在します。
こうした環境においては、安全に設置可能な監視機器による常時監視体制の構築が求められ、本製品群は設備監視や状況確認、異常の早期検知を通じて、安定運用の確保と事故リスクの低減を支えます。
【導入施設紹介】タングLNGプラント(インドネシア)

世界的なエネルギー企業bpが運営するインドネシア最大級の天然ガス生産拠点であり、アジアにおける低炭素エネルギー供給の要所。
※リンク先は英語ページです。
②港湾・海上設備

燃料や化学物質の搬送・保管が行われる港湾やタンクヤード。可燃物を扱う環境に加え、潮風による塩害や強風などの自然条件も考慮した設備設計が求められます。
このような現場では、広範囲にわたる監視対象を効率的にカバーしつつ、危険エリアの状況を遠隔から把握できる体制が重要です。本製品群は、耐環境性能と監視機能の両面から安全管理を行います。
③食品・粉体工場

小麦粉や砂糖、各種粉体原料を扱う製造環境では、粉塵が空気中に滞留することで「粉塵爆発」のリスクが生じます。一見すると危険性が低く見える業種であっても、適切な安全対策が必要です。
特にサイロ設備や搬送ライン周辺では、設備の稼働状況や異常の兆候を継続的に監視することが求められ、本製品群は粉塵環境に対応した監視手段として、設備保全と安全管理の両面で活用されます。
最後に
防爆カメラは、単なる映像監視機器の枠を超え、過酷な環境下における「安全の根幹」を支える重要なインフラです。特に可燃性ガスや粉塵が舞う現場では、機器選定の妥協が重大なリスクに直結しかねません。
PELCOの「ExSiteシリーズ」は、厳格な国際規格に準拠した設計により、リスク低減と運用効率化の両立を実現します。特殊環境下での設備保全やリスクマネジメントに課題をお持ちの際は、ぜひJSS営業へご相談ください。設置環境に最適な構成を、専門的な知見をもってトータルにご提案させていただきます。





