塩害対策で知っておきたい保護等級「NEMA 4X」とは?
設置した防犯カメラが、想定よりも早くサビたり故障したりする――その原因は「塩害」かもしれません。
塩害とは、海水や潮風に含まれる塩分が筐体に付着し、サビや腐食を進行させる現象です。
日本は四方を海に囲まれた島国のため、塩害の影響が出やすい環境にあります。沿岸部や島しょ部はもちろんのこと、夏場に台風が襲来すれば、海水が巻き上げられて内陸部にまで塩分が飛散します。
では海から遠い場所ならば安全なのかと言うと、そうとも限りません。
積雪地域で使われる融雪剤には塩分が含まれますし、食品加工工場や化学プラントといった特殊な現場では塩分や薬品による腐食が発生しやすいです。
「せっかく設置したカメラが数年でサビついて動かなくなった」
「メンテナンスや買い替えのコストが膨らんで困っている」
そんな現場の悩みを解決するのが、強力な耐腐食性能を持った「NEMA 4X(ネマ フォーエックス)」対応の防犯カメラです。
本記事では、塩害のリスクから耐腐食規格「NEMA 4X」の基礎知識、おすすめの防犯カメラまで、わかりやすく解説します。BCP対策の一環としても、ぜひご一読ください。
海沿いだけじゃない。「塩害」が起こりやすい環境とは
「塩害」と聞くと、海岸沿いの施設だけの問題と思われがちです。しかし実際には、日本には塩害リスクが高い環境が数多く存在します。
日本の海岸線は総計で29,751kmあり、世界で第6位の長さを誇ります。港湾施設や海沿いの工場・発電所・物流施設が多く、島しょ部でも日常的に潮風の影響を受けやすいです。
また、通常は潮風の影響が少ない地域であっても、台風時には暴風によって海水飛沫(海塩粒子)が巻き上げられ、内陸にまで運ばれることがあります。台風通過後に建物や車を真水で洗い流すことが習慣化している地域があるのも、この塩分付着への対策です。

また、塩害の要因は海水だけではありません。
降雪量が多い寒冷地では、冬場に路面凍結を防ぐため、塩化ナトリウムや塩化カルシウムを主成分とした融雪剤(凍結防止剤)が大量に散布されます。走行する車両のタイヤによって巻き上げられた塩分の混ざった水や粉塵が、防犯カメラや設置したポール周辺に付着して腐食の進行を早めます。

▸ 屋内でも注意したい腐食リスク
塩害対策が必要なのは沿岸部や港湾施設などの屋外ばかりではありません。以下のような屋内環境でも、日常的に高い腐食リスクに晒されています。
| 食品加工工場 | ハムや漬物などの製造現場では、食材に含まれる塩分が空気中に浮遊・付着します。また、衛生管理のために日常的に行われる高圧水洗浄や塩素系消毒液の散布は、カメラの金属部品やネジ・ブラケット類のサビや劣化を早める危険性があります。 |
| 化学工場・プラント | 製造過程で発生する薬品の蒸気やガス、強酸・強アルカリ性の洗浄薬品などが微量ながら空気中に漂っています。これらがカメラ筐体や防水パッキンに付着することで、通常の樹脂や金属カバーでは耐えきれず、腐食や劣化が進んでしまい、防水性能が低下する原因となります。 |
| 寒冷地の大型物流センター・屋内駐車場 | 冬場に路面へ撒かれる「融雪剤(塩化カルシウム)」が車両のタイヤによって巻き上げられ、施設内の設備に付着します。これが原因で、屋内に設置したカメラであっても塩害と同様のサビ被害が発生することがあります。 |
このように、危険なのは海沿いだけではありません。
たとえ屋内であったとしても、「塩分や薬品、水がかかりやすい環境」に設置された防犯カメラは、一般的な製品(防塵・防水仕様のみ)では、想定外の速さで劣化する可能性があるのです。
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防犯カメラが塩害で受ける影響

「塩害」は、単に「見た目がサビるだけ」ではありません。防犯カメラのような精密機器にとっては重大な機能障害や運用コストの増加に直結します。
カメラ本体や周辺部材に塩分が付着・蓄積すると、以下のようなトラブルが起こります。
① ブラケットやネジなど固定部材の腐食
防犯カメラ本体だけでなく、カメラを壁面やポールに固定しているブラケットやネジ類から腐食が始まるケースは非常に多く見られます。
ネジがサビついて固着すると、角度調整や点検時の取り外しが困難になります。さらに腐食が進行すると強度が低下し、台風などの強風時にカメラの落下事故につながるリスクも生じます。
② 筐体(ケース)の劣化と防水性能の低下
一般的な屋外用カメラの筐体(金属や樹脂)に塩分が付着したまま放置すると、表面の塗膜が剥がれ、内部の金属部分にまで腐食が進みます。
また、ケースの継ぎ目やケーブル接続部を保護しているゴムパッキンやシール材も、塩分や潮風の影響で劣化・硬化が進みやすくなります。パッキンが劣化して隙間が生じると、雨水や潮風が内部基板へ浸入し、ショートや故障の原因となります。
③ メンテナンス頻度の増加と交換サイクルの短縮
耐性がないカメラを塩害リスク環境で運用すると、故障や不具合の頻度が高くなります。
- メンテナンスコストの増加:頻繁な点検、洗浄、部品交換の手間が発生
- 機器交換サイクルの短縮:通常であれば数年以上運用できるカメラなのに、短期間で買い替えが必要になる
- 監視の「穴」が生じるリスク:故障による修理期間中、防犯・安全管理の映像が途切れてしまう
塩害による影響は、カメラ本体の故障だけにとどまりません。余計なメンテナンスコストや稼働停止といった運用リスクまで増大させてしまいます。安定した運用のためにも、設置環境に応じた早期の対策が重要です。
「NEMA 4X」とは? ― 耐腐食性能のポイント ―

塩害や薬品による機器の劣化を防ぐうえで、防犯カメラ選びの重要な指標となるのが「NEMA 4X(ネマ フォーエックス)」という規格です。
一般的な防犯カメラでも「防水・防塵」に対応した製品は多く存在しますが、塩害環境で活躍するのは「耐腐食性」まで保証されたNEMA 4X対応モデルです。
▸ NEMA規格(NEMA 4X)の基礎知識
NEMA規格とは、米国電気工業会(National Electrical Manufacturers Association)が定めた電気製品の規格です。
その中でも「4X」は、屋外での過酷な環境に耐えうる保護性能を規定しており、主に以下の基準をクリアした機器に付与されます。
- 防塵・防水性能:風圧を伴う粉塵の侵入・水や強力な噴流水の侵入を防止
- 凍結保護:外部からの凍結による損傷を防止
- 耐腐食性能:塩分や化学物質による腐食に対する高い耐久性
▸ 一般的な「IP規格(IP66/IP67)」との違い
防犯カメラのスペック表でよく見かける「IP66」や「IP67」は、国際電気標準会議(IEC)が定めた防塵・防水性能の等級です。
- IP66 / IP67:水やホコリが内部に「侵入しないか」という防水・防塵の基準
- NEMA 4X:防水・防塵に加え、塩水噴霧試験などを通じた「耐腐食性(サビにくさ)」まで検証・保証された基準
つまり、どれほど「IP67(完全防水・防塵)」に適合した優れたカメラであっても、耐腐食試験を通過していない一般的な金属・樹脂筐体の場合は、塩風を受けることで数年のうちに表面が腐食し、最終的にパッキンの隙間から浸水してしまう恐れがあるのです。
「水を通さない(IP等級)」だけでなく、「サビ・腐食で筐体(ケース)が壊れない(NEMA 4X)」という点が、高リスク現場で安定運用できるかどうかの決定的な差となります。
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冷感地対応カメラの導入事例も紹介しつつ、防水・防塵性能を示す「IP等級」について詳しく解説しています。
塩害環境におすすめの防犯カメラ
耐腐食性能を示す「NEMA 4X」規格に適合し、塩害地域や過酷な工場環境でも安心して導入できるおすすめの防犯カメラをご紹介いたします。
AI映像解析による検出機能や広域監視によって現場の負担軽減にも貢献する製品ラインアップです。
- 【JSS製】8MP AIネットワークカメラ
JS-CX4シリーズ (バレット型 / ドーム型)
【保護等級】IP67 / IK10 / NEMA 4X 適合
- 耐腐食性能に加え、AI映像解析による各種検出機能を搭載したMADE IN JAPANモデル。
4Kの高画質と、AIによる各種検出機能により、人や車両を精度高く検出して、風による樹木の揺れなどの誤検出を低減します。無駄な確認作業を減らし、モニタリングの負荷を軽減。設置場所と目的に応じて、2つの形状(バレット型・ドーム型)から選択可能です。
仕様などの詳細は、下記リンクより製品ページをご覧ください。
- 【PELCO製】2~8MP 高倍率PTZカメラ
- 世界の重要インフラ設備へも豊富な導入実績を持つ、米国のセキュリティブランド「PELCO」のPTZカメラ。
広大な港湾施設や工場の敷地全体を1台でカバーでき、遠方の車両や作業状況まで鮮明にズーム・追尾が可能です。モニタリングの負担軽減(省人化)にも大きく貢献します。
用途や設置環境に応じて、最適なモデルをお選びいただけます。 
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① Spectra Professional 2 Series PTZ(2MP・コストパフォーマンス重視モデル)
光学30倍ズームを搭載。標準装備の「Professional Analytics Suite」で、行動・動体検知などの高度な画像分析が可能。
PTZモデルでありながらも導入しやすい価格帯で、優れたコストパフォーマンスを誇ります。設置台数を抑え、広いエリアを効率よく監視したい現場に最適です。
【保護等級】IP67 / IK10 / NEMA 4X 適合 -
② Esprit Compact PTZ(最大8MP・厳しい屋外環境向けモデル)
最大40倍光学ズームを搭載。AIを活用した映像解析機能「Pelco Smart Analytics」で、モニタリングの負担軽減やインシデントの早期発見が可能です。過酷な運用環境が求められる現場向けに設計されており、MIL-STD-167-1Aおよび810Gに適合しているため、極めて高い耐衝撃・耐振動性能を備えています。道路などの交通インフラや、空港・港湾など沿岸地域の監視に最適です。
【保護等級】IP66・67 / IK10 / NEMA 4X 適合 -
③ Esprit Anti-Corrosion PTZ(2MP・重塩害環境向けモデル)
40倍光学ズームを搭載。AIを活用した映像解析機能「Pelco Smart Analytics」を使用できるほか、AISI 316Lステンレス製ハウジングを採用し、塩害・腐食環境に特化した最高峰の耐久性を備えています。洋上施設や、腐食性ガスの影響を受けやすい薬品を扱うプラントでも長期間の運用が可能です。
【保護等級】IP66・67・68・69 / IK10 / NEMA 4X 適合
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仕様などの詳細は、下記リンクより公式製品ページをご覧ください。(※英語ページ)
PELCOは、高耐久モデルや耐塩害・防爆といった特殊環境対応モデルまで、過酷な現場を支える高機能かつ特殊な性能を有する防犯カメラソリューションを幅広くラインナップしています。下記リンクより、ブランド紹介ページをご覧いただけます。
PELCO製品の紹介ページはこちら最後に
海沿いの塩害や、工場で使用される薬品・洗浄水など、腐食リスクがある環境では、防犯カメラの耐久性が運用コストや設備の安定稼働に大きく関わります。「故障してから買い替える」のではなく、耐腐食性能を備えたNEMA 4X対応モデルを選定することが、長期間にわたる安定運用やライフサイクルコストの低減につながります。
JSSでは、設置環境や用途に応じて選べるNEMA 4X対応の防犯カメラをラインアップしています。
「この設置環境でも塩害対策は必要なのか」「どのような機種を選べばよいのかわからない」といったお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。